【新唐人2013年1月9日付ニュース】2013年の元旦、香港では梁振英(りょう しんえい)行政長官の退陣を求めるデモ行進が行われ、13万人が参加。行進の列の中には、ごく少数の梁振英支持派もいたようです。中国共産党の代弁者・新華社は異例にもこのデモを報道し、デモで“梁振英の退陣”が求められていることも2度言及しました。これに対し、アナリストは当局が二つのシグナルを発信していると分析します。
1月1日の午後6時、新華社は“香港で複数の団体が元旦デモを発起、要求を表明”というタイトルで香港市民数万人が元旦デモに参加し、さまざまな要求を表明し、梁振英の反対派と香港政府支持派が半々であったと報じました。
新華社は“民主人権陣線”の要求を引用し、“デモ参加者は行政長官・梁振英の退陣、市民全体への退職保障の実施と言論の自由などを求めた”ことや、“人民の力により主催されたデモは梁振英の退陣を要求した”と報道。
新華社では、あまり報じられることのない香港市民の政府に対する抗議デモ。今回は異例にもデモ隊が“梁振英の退陣を求めている”ことも2度言及しています。
香港の作家・張成覚(ちょう せいかく)さんは、共産党新指導部誕生後、新しいイメージを作るため少しだけ制限を緩めた可能性があると指摘します。
香港の作家 張成覚さん
「このような状況は中共にとってマイナスではありません。『一国両制度』だというのなら、香港にはデモの自由があり、報道の自由もあるはずで、市民が街頭で自分の願望を表現するのも許されるはずです。大きな方面からいえば、この様な事は中共にとって悪いところはなく、報道しなければ、却って器量が小さいあるいは臆病で自信がないとみられてしまいます」
香港“開放”誌の編集者・蔡咏梅(さい えいばい)さんによると、香港政府の以前の言い方では、もし10万人が街頭に出た場合、中央政府から粛清を受けることになるそうです。今回の新華社の異例な報道について、香港各界もみなその意図を憶測しているといいます。
香港「開放」誌編集者 蔡咏梅さん
「最も多い解釈は梁振英の香港管理能力に対し、北京がすでに自信を無くし、彼の退陣を考えている。ずばり言うと、梁は信用できないので、退陣させるということです。もうひとつの解釈は習近平が登場し、政治気風を変える必要があるので、メディアが少し客観的に報道しているのではないかです」
今回のデモでは、中央政府駐香港特別行政区連絡弁公室(中聯弁)の前で示威を行った団体もおり、さらに香港返還前のイギリス統治時代の国旗を掲げた人も多数出現。しかし、新華社の報道の中では言及されず、転載もないうえ、英語版での報道もありませんでした。
この他、梁振英支持派6万人がデモを行ったと報じましたが、香港警察の報告では、梁振英を支持するデモ隊の人数はピークで8千人と言われており、その規模は、梁の退陣を要求する声には遠く及ばなかったようです。
蔡さんによると、当日のデモ参加者は13万人を超えたそうです。一方、“梁振英支持派”の数は2千人ほどで、その中の一部は親中共派団体および学校から参加を強いられた学生たちだったといいます。また、中国企業の従業員によると、デモに行かなければ、解雇されると言われたそうです。ほかに、香港政府に金で雇われて参加した人もいたといいます。
香港「開放」誌編集者 蔡咏梅さん
「すでに多くのメディアが報じましたが、多くのメディアやテレビ局の記者がデモ参加者に扮してデモ隊に入り、デモ終了後お金を配っている場面もとらえました。マフィアの人まで雇い、デモ開始の前に手に印をつけ、デモが終ってから一人あたり250香港ドル配っていたそうです」
2012年12月末、あるネットユーザーがフェイスブックで、“ラブ香港フォース”(愛港力Love HK Force)という組織が金を出して、梁振英を支持するための人員を、一人あたり200香港ドルで募集していたと暴露しました。
1日の朝、香港各界の祝典委員会名義で組織された“愛港之声(Sound of Love HK)”は、梁振英を支持する“新年新希望元旦大行進”を行うと発表しました。複数のインターネットメディアのリポーターが、彼らの隊列に紛れ込み、香港政府が金で人を雇い、梁振英を支持していることを証明しました。
今回のデモ行進のあと、中国当局は2017年から香港市民が香港特区政府の行政長官を直接選挙により選出することと、さらに2020年、香港立法会に直接投票する権利を持つことを承諾しました。しかし、香港の民主派はこれは効力のない空文に過ぎないと疑問を抱いています。
新唐人テレビがお伝えしました。
(翻訳/赤平 編集/坂本 ナレーター/村上 映像編集/工)